妊娠中の睡眠、実は体勢が9割?右下寝がNGな理由とシムス位の正しい取り方

「なんとなく右を下にして寝ている」——それ、赤ちゃんとママの体に負担をかけています

妊娠中、どんな体勢で寝ていますか?

今はお腹が大きくてうつぶせでは寝られないし、仰向けもつらい。 だから横向きで寝ているけど、どっちが正解かわからないし気づいたら右を下にして寝ていることが多い。
また、夜中に何度も目が覚めて寝た気がしないという事もあるかと思います。

妊娠中の「寝る体勢」は意外と見落とされがちなテーマです。

しかし実は、

右下で寝るか左下で寝るかによってママの血流や内臓への負担、そして赤ちゃんへの栄養・酸素の届き方に大きな差が生まれます。

「どっちでも同じでしょ?」と思っていた方にこそ、ぜひ読んでいただきたい内容です。

妊娠中の体は「普段の体」とは別物

まず大前提として、妊娠中の体は妊娠前と根本的に異なります。

子宮は妊娠前の約500〜1000倍もの大きさに成長し、体内の血液量も非妊娠時と比べて約1.5倍に増加。 この「大きくなった子宮」が問題の核心です。
妊娠中期〜後期になると子宮はお腹の中で非常に大きなスペースを占めるようになり、周囲の血管・内臓・神経を物理的に圧迫します。

特に影響を受けやすいのが、背骨の右側を走る「下大静脈(かだいじょうみゃく)」という太い血管です。
これは全身から心臓へ血液を戻す重要な血管であり、ここが圧迫されると血流が滞りママにも赤ちゃんにも様々な影響が生じます。

右下で寝るとなぜいけないのか?

下大静脈が圧迫される

右向きで横になると大きくなった子宮の重さが体の右側にかかります。
下大静脈は背骨のすぐ右側に位置しているため右下で寝ることで子宮が下大静脈を直接圧迫してしまい、下半身からの血液が心臓へスムーズに戻れなくなります。

その結果、以下のような症状が起こりやすくなります。

  • めまい・立ちくらみ
  • 動悸・息苦しさ
  • 足のむくみの悪化
  • 血圧の低下(仰臥位低血圧症候群に近い状態)
  • 赤ちゃんへの血流・酸素供給の低下

肝臓への負担が増える

肝臓は体の右側に位置しており、右下で寝ると重い子宮が肝臓を直接圧迫する形になります。

肝臓は解毒・代謝・血液の生成など、妊娠中にフル稼働している重要な臓器です。 そこへ物理的な圧力がかかり続けることは機能の妨げになる可能性があります。

胃・食道への逆流が起こりやすい

妊娠中はホルモンの影響で胃と食道の境目にある括約筋がゆるみ、胃酸が逆流しやすくなっています。
右下で寝ると胃の構造上、胃酸が食道へ流れ込みやすい体勢になるため胸やけや逆流性食道炎の症状が出やすくなります。

「左肩を下(左側臥位)」で寝るとどうなる?

産科・助産師の現場でも、妊娠中期以降は「左を下にして寝ることを推奨」しています。

その理由を整理します。

  • 下大静脈への圧迫が減り、心臓への血液の戻りがスムーズになる
  • 子宮への血流が増加し赤ちゃんへの酸素・栄養供給が改善される
  • 腎臓への血流が良くなり、むくみや利尿が改善されやすい
  • 肝臓への圧迫が軽減される
  • 胃酸の逆流が起こりにくい体勢になる

ただし「絶対に左でなければいけない」ということではありません。
『長時間同じ体勢でいること』これが体への負担になるため、適度に体勢を変えながら休むことが大切です。

寝る体勢による体への影響:比較表

寝る体勢 下大静脈 血流・循環 内臓への負担 おすすめ度
左下(左側臥位) 圧迫が少ない スムーズ・良好 比較的少ない ◎ 推奨
右下(右側臥位) 圧迫されやすい 滞りやすい 肝臓・胃に負担 △ 避けたい
仰向け(仰臥位) 最も圧迫されやすい 大きく低下 腰・血管に集中 ✕ 中後期は避ける
うつ伏せ 影響は少ない 子宮・お腹を圧迫 ✕ 絶対ダメ

整体師が現場で感じること

整体の現場でも妊婦さんの施術時には必ず「普段の寝る体勢」をお聞きします。
右下で寝ている方は、左側の腰・股関節まわりに強いコリや張りを抱えているケースが多い印象です。
これは右下で寝ることで体の左側に自然と力が入り、筋肉が緊張し続けるためと考えられます。 また、血流の滞りによって筋肉への酸素供給が減り、疲労物質が蓄積しやすくなることも関係しています。

寝る体勢は1日の中で最も長く続く「姿勢」です。 6〜8時間、毎晩続く体勢のクセは骨盤のゆがみや筋肉の左右差を生み出す大きな要因となります。

日中の立ち方・歩き方と同様に、睡眠中の体勢も体づくりの一部として意識することがマタニティ期の体を守ることにつながります。

今夜から試せるセルフケア:シムス位で体の負担を減らす

妊婦さんに特におすすめの寝る体勢が「シムス位(半腹臥位)」です。左下を基本としながら、体をやや前に傾けた体勢で、お腹への圧迫を最小限に抑えながら血流を確保できる姿勢です。

シムス位の取り方

  • 左を下にして横向きになる
  • 左足は軽く伸ばし、右膝を前方に引き上げる
  • 右膝の下にクッションや抱き枕を挟む
  • 右腕もクッションの上に乗せると肩が楽になる
  • 体全体がやや前傾みになるのが理想(完全な横向きより少し前)

シムス位のメリット

  • 子宮・お腹の重さが分散され、腰への負担が軽減される
  • 下大静脈への圧迫が少なく、血流が保たれる
  • 骨盤底筋への過剰な圧力が和らぐ
  • むくみが出やすい足・脚の血流が改善されやすい

眠れないときのプラスワンケア

  • 足元を心臓より少し高くすること(タオルや薄いクッションを活用)でむくみを軽減
  • 寝る前に足首をゆっくり回す(各方向10回)ことで血流を促進
  • 湯船に浸かれる場合は38〜40℃のぬるめのお湯で10〜15分。(全身の血行を整えてから就寝)
  • 抱き枕はお腹の前だけでなく、背中側にも置くと寝返りを防ぎやすく、安定する

こんな症状がある場合は整体へご相談ください

寝る体勢を工夫しても以下のような症状が続く場合は、骨盤のゆがみや筋肉・関節のバランスが乱れている可能性があります。
以下の場合、マタニティ整体への相談をおすすめします。

  • 朝起き上がるときに腰・股関節・恥骨に強い痛みがある
  • 夜中に何度も目が覚め、体の一部がしびれている
  • 左下で寝ようとしても、体が痛くてどの体勢も長続きしない
  • 寝ても疲れがとれず、日中の倦怠感が強い
  • 足のむくみが朝になっても引かない
  • 寝返りのたびに骨盤・腰に激痛が走る(寝返り痛)

マタニティ整体では、妊婦さんの体に安全な体勢(横向き・仰向けなど)で施術を行います。 骨盤のゆがみや筋肉の左右差を整えることでシムス位が取りやすくなり、睡眠の質の改善につながるケースも多くあります。

「妊娠中だから仕方ない」と諦める前にぜひ一度ご相談ください。
赤ちゃんが生まれてくるその日まで、できるだけ楽に・快適に過ごせるよう我々がしっかりサポートいたします。

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