年齢を重ねると「体力が落ちてきた」「筋肉が減ってきた気がする」と感じる方が増えてきます。実際、加齢とともに筋肉量は年に1%ずつ減少すると言われており、これはサルコペニア(加齢性筋肉減少症)の大きな原因です。筋肉量が減ると、転倒や骨折のリスクが高まり、日常生活の質にも影響が出ます。そこで注目したいのが「プロテイン」の活用です。
本記事ではパーソナルトレーナーの視点から、シニア世代におすすめのプロテインの種類や摂り方、注意点について詳しく解説します。
なぜシニアにプロテインが必要なのか?
筋肉の維持・増加
筋肉はタンパク質から作られます。加齢とともに筋肉合成能力が低下するため、若い頃よりも多めのタンパク質が必要になります。
免疫力の維持
タンパク質は筋肉だけでなく、免疫細胞やホルモンの材料にもなります。十分なタンパク質摂取は、風邪や感染症予防にも役立ちます。
骨の健康を守る
タンパク質は骨の形成にも関与しています。特にカルシウムやビタミンDと一緒に摂ることで、骨粗しょう症予防につながります。
シニアが摂るべきタンパク質量
日本人の食事摂取基準では、成人男性で1日60g、女性で50g程度のタンパク質が推奨されています。
しかし、シニア世代では 体重1kgあたり1.2〜1.5g が望ましいとされています。
例えば体重60kgの方なら 72〜90g が目安です。食事だけでこれを満たすのは難しいため、プロテインパウダーで補うのが効果的です。
シニアにおすすめのプロテインの種類
1. ホエイプロテイン
牛乳由来のタンパク質で、吸収が早く筋肉合成効果が高い。
トレーニングやウォーキング後の摂取に最適。
消化吸収が良い反面、乳糖不耐症の方はお腹を壊すことがある。
2. ソイプロテイン(大豆プロテイン)
植物性でゆっくり吸収されるため、満腹感が続きやすい。
大豆イソフラボンが骨やホルモンバランスをサポート。
動物性食品が多く摂れないシニアにおすすめ。
3. カゼインプロテイン
牛乳由来で吸収がゆっくり。
就寝前や食事間隔が空くときに適している。
4. シニア向け専用プロテイン
ビタミンD、カルシウム、亜鉛など骨や免疫に関わる栄養素が強化されている。
味も飲みやすく調整されている製品が多い。
プロテインの摂り方のポイント
1回20gを目安に
一度に多く摂っても吸収しきれないため、1回15〜20gを1日2〜3回に分けるのが理想です。
運動後30分以内に
筋肉の合成が活発になる“ゴールデンタイム”に摂ると効果的。ウォーキングや体操後に摂るのがおすすめです。
間食として活用
おやつ代わりに牛乳や豆乳で割って飲むと、栄養補給と満足感の両方が得られます。
水分と一緒に
腎臓への負担を減らすため、しっかり水分も摂りましょう。
注意点
腎臓疾患がある方は医師に相談
腎機能が低下している方は、過剰なタンパク質摂取が負担になることがあります。
砂糖や人工甘味料の量に注意
甘い味付けのプロテインは血糖コントロールに影響する場合があります。できるだけ低糖・無添加のものを選びましょう。
食事とのバランスが大事
プロテインはあくまで補助。肉・魚・卵・大豆製品など食品からのタンパク質摂取も忘れないようにしましょう。
おすすめの摂取シーン
朝食時:忙しくてご飯を食べられないときの代わりに。
運動後:筋肉合成を促すために。
就寝前:カゼインやソイプロテインで夜間の筋分解を防ぐ。
まとめ
シニアにとってプロテインは「ボディビルダーのためのサプリ」ではなく、健康寿命を延ばすための栄養補助食品です。
筋肉を維持することは転倒予防や日常生活の自立に直結します。
体重1kgあたり1.2〜1.5gのタンパク質を目標にする
ホエイ、ソイ、カゼインなどを目的に応じて使い分ける
1回15〜20gを分けて摂取する
食事と運動と合わせて活用する
これらを意識すれば、プロテインはシニア世代にとって強力な味方となります。
健康的に年齢を重ねるために、ぜひ今日から取り入れてみてください。







